サッカークラブサイトランキング

 

総評  

本調査により、Jリーグ1部リーグ所属クラブの公式サイトにおける多くの優れた取り組みと、改善の余地がある複数の課題が明らかとなりました。
まず、試合日程の掲載、ファンクラブ案内、スタジアムグルメ情報、地域貢献活動など、基本情報に関する設計は多くのクラブで一定の水準に達しており、ユーザー目線を意識した構成が確認できました。

一方で、クラブ間で評価に差が出たのは、「チケット購入の明確さ」と「問い合わせ対応の体制」です。チケット販売に関しては、試合情報ページからチケット購入ページへの導線が不明瞭、あるいは分断されているケースが散見され、特に新規ファンやライトユーザーにとっては不親切な構造となっていました。加えて、当該試合日に実施されるイベントや来場特典の情報自体は存在しているものの、試合情報やチケット購入ページと適切に連携されておらず、ユーザーが一連の情報を横断的に把握しにくい構成となっているクラブが多数見受けられました。こうした構造は、観戦動機の喚起や購入促進といった観点から、機会損失を生む要因となり得ます。

お問い合わせ対応についても差が顕著であり、そもそも問い合わせフォームが設置されていない、または設置されていても対応時間の明記がないといったケースが確認されました。これらはユーザーの信頼性認識や利便性、しいてはマーケティング活動に大きく影響する要素であり、改善が望まれます。

さらに、Webアクセシビリティや表示速度といった基本的なユーザビリティにおいても、多くのクラブで対応が不十分でした。文字サイズや配色、キーボード操作など、視認性や操作性の改善が求められます。

そのほか、試合速報の未整備、バリアフリー対応情報の不足、地域連携活動やクラブ運営企業の透明性に関する情報提供、そしてプライバシー対応——とくに問い合わせフォームでの同意取得やCookieのオプトイン・オプトアウトの実装は、全体として対応が遅れている状況です。

Jリーグクラブの公式サイトは、単なる情報発信にとどまらず、社会的責任やファンとの信頼関係構築の場としての役割が求められています。今後は、誰にとっても使いやすく信頼される設計や、法令対応を含めた戦略的な改善が、クラブのブランド価値を高める鍵となるでしょう。

上位サイトの特徴

「Gomezサッカークラブサイトランキング2025」の総合1位は、総合得点7.54点を獲得したガンバ大阪となりました。カテゴリ別では「ウェブサイトの使いやすさ」「情報量とコンテンツの充実度」「便利な機能・サービス」の3カテゴリすべてで上位に入り、総合的に高い評価を獲得しています。
同クラブの公式サイトは、情報の網羅性が高く、各コンテンツへの導線も整理されているため、初心者でも目的の情報に迷わずアクセスできる構造となっています。チケットや試合日程、ファンクラブ、スタジアム案内など、主要情報への導線も明快で、ユーザビリティに優れた設計です。
「お問い合わせ」「よくある質問」などのユーザー支援メニューも常設されており、基本的なサポート体制も整備されています。一方で、表示速度の最適化やアクセシビリティ方針の明示、運営企業に関する財務情報の開示、Cookieのオプトイン・オプトアウト機能の未対応といった点は、同クラブに限らず多くのクラブに共通する課題として挙げられ、今後の改善が期待されます。

総合2位は、京都サンガF.C.となりました。カテゴリ別では、「安定性と信頼感」で2位、「ウェブサイトの使いやすさ」で4位となっています。 特に評価されたのは、クラブ運営企業の財務情報を公式サイト上で明示している点であり、運営の透明性や信頼性の面で他クラブに先駆けた対応が確認されました。 一方で、サイトマップやパンくずリストが設けられていないことから、ユーザーが情報を見つけにくい構造となっている点は課題とされました。さらに、Cookieポリシーが設置されていないことも、プライバシー対応として改善の余地があります。

総合3位は、セレッソ大阪となりました。カテゴリ別では、「情報量とコンテンツの充実度」で1位、「便利な機能・サービス」で6位となりました。 同クラブの公式サイトは、トップページの表示が速く、主要情報にすぐアクセスできる構成となっており、快適な閲覧環境が評価されました。また、問い合わせフォームにおいて、個人情報取得に関する同意確認が組み込まれている点も、プライバシー配慮の先進的な取り組みとして注目されました。 一方で、チケットの払い戻し規定が明確に案内されていないこと、Cookieポリシーが設置されていないこと、ファン向けの継続的な情報提供(メールマガジンなど)がやや弱いことが課題として挙げられます。 全体として、サイトの基本性能や安心感のある構成が強みであり、今後はファンとの中長期的な関係性構築に向けた機能の充実が期待されます。