社会インフラとして人々の安心と安全を支える損害保険会社は、市場環境や顧客ニーズの変化に対応しながら、新たな顧客価値の提供やビジネスの拡大を目標に、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を積極的に推進しています。こうした取り組みのなか、ウェブサイトは単なる情報提供の場を超えて、デジタルマーケティングの要としての機能も期待されています。
各社のウェブサイトにおいて、オンラインの機能や効率性を上手く活かしつつ、オフラインでの「代理店への相談予約」や「事故時のサポート窓口への連携」に代表されるように、ウェブサイトをユーザーとのリアルなコンタクトや安心感へつなげるシームレスな接点として活用する動きが顕著です。
今回の調査では、損害保険業界におけるウェブサイトの位置づけや役割の変化を踏まえ、調査項目を大幅に見直し、また、アクセシビリティやAI検索対応において重要な要素であるテクニカルSEO(検索エンジンから適正なサイト評価を獲得するためのサイトの効率性)といった新たな評価要素も多く取り込み、調査を実施しました。
損害保険会社におけるウェブサイト改善の動きは活発です。特に、保険契約の内容確認、更新、変更においては、ウェブサイトで完結する傾向が強いです。
こうした保険契約後にウェブ上で完結する取り組みについては大きな前進が見られる一方で、保険契約そのものがウェブ上で完結できる仕組みについては、既存代理店との連携をシステム上でシームレスに行う点で、まだ他金融業界に比べると課題があります。
ウェブサイトのユーザビリティに関していえば、ナビゲーション等の基本的なサイト構成は整っている一方で、検索機能の使いにくさが目立ちます。
AI検索の重要性が高まる中で、AI検索と密接に結びつくテクニカルSEOについては、約半数の企業で基本的なスコアが未達成となっているため、単にXMLサイトマップを設置するだけでなく、クロール能力の弱いAIプラットフォームでも十分にサイト内コンテンツが把握されるよう改善が推奨されます。
「Gomez 損害保険会社サイトランキング2026」の総合1位は、総合得点9.01点を獲得した「三井住友海上火災保険」となりました。カテゴリ別でも、「ウェブサイトの使いやすさ」、「商品・サービス情報」ともに1位となっています。
同社のウェブサイトは、サイトの掲載情報は多いものの、各カテゴリやメニューへの動線を明確にしているため、ユーザーが求める情報を探しやすい構成となっています。特に、商品やサービスに関連した情報掲載が幅広く網羅されている点が際立っており、さらに個々のページ情報の有無だけではなく、代理店検索や相談予約といったユーザーに次のアクションを促す動線等が分かりやすく設置されています。
総合2位は、「損害保険ジャパン」となりました。カテゴリ別では、「ウェブサイトの使いやすさ」で2位、「商品・サービス情報」で3位となりました。
基本的なナビゲーションやサイト構成は非常にわかりやすく整理されています。一方で、パフォーマンスやテクニカルSEOなど、ウェブサイトの基盤となる側面への対応に課題があります。
総合3位は「東京海上日動火災保険」となりました。カテゴリ別では、「ウェブサイトの使いやすさ」で5位、「商品・サービス情報」で2位となっています。
同社は、上位3社に共通する基本的なナビゲーションには対応しているものの、大規模金融サイトとして求められる細かな配慮の項目において未達成が見受けられます。