IR活動における基本的なWebサイト対応 ランキング予備調査2015からの考察

2015年06月19日

本年度のGomez IRサイトランキングは2015年6月末に発表予定だが、それに先立ち、ランキングの予備調査データも踏まえながら、最新の国内IRサイトの状況を紹介したい。

スマートフォンへの積極的な対応

Webサイトを通じたIR活動に積極的な上位380社をピックアップし、その各種対応状況を確認したところ、111社が既にIRカテゴリにおけるスマートフォンサイトを構築していた。IRカテゴリ全体を全て対応している会社もあれば、IRトップページのみをスマートフォン最適化している会社もあったが、いずれにせよ年々増えつつあるスマートフォンからのアクセスに適切に対応することは重要だろう。

多くの投資家がIRサイトで確認したいと考える「財務情報」「ニュースリリース」「会社概要」「株主還元情報」「株価情報」などは特に重点的にスマートフォン対応をすべきである。

個人投資家向けコンテンツの充実

Webサイトのクオリティが一定程度に達している1365社の上場企業のうち、実に514社が「個人投資家向け特設コーナー」を設けていた。

法定開示事項やPDFデータが増えがちなIRサイトにおいて、個人投資家向けにわかりやすく自社の状況や方向性を解説するこういったコーナーは有用度が高い。

図表や写真などを用いて、「事業概要」「業績」「戦略」「株主還元」などほんの数ページで会社の魅力が伝わるようにしておくとよいだろう。

サイト表示速度への対応

Webサイトの表示速度は、利用者にとって大きな関心事だ。当社では平均表示速度2秒以内を使い勝手のよいサイトの基準として置いている。

前出の380社のトップページ表示速度を、当社が提供するサイトパフォーマンス測定サービス「Keynote」で客観的に計測したところ、平均2秒以内で表示されたのは135社で、全体の35%のみだった。

2015年6月16日~6月18日の計測において、380社の表示速度平均は3.21秒、最小が0.31秒、最大が19.14秒、標準偏差は2.36だった。

1ページの表示速度が19秒以上となっているのは論外として、一般ユーザーが遅いと感じる5秒以上の会社が62社、全体の16%も存在したことも驚きだ。

不要なオブジェクトの整理、ファイルサイズの削減、システム構成や設定の見直しなどが必要だろう。

IRサイトに対する株主・投資家の期待は多様化しており、現在のWeb技術やトレンドも踏まえたうえで、効果的なWebサイト運営をすることが求められている。

(ゴメス・コンサルティング 森澤 正人)