IRサイトランキング2010:IRサイト一斉調査(1)

2009年10月27日

秋は「読書」「スポーツ」「食欲」など、いろいろなものを連想する季節であるが、弊社にとっては「IRサイト一斉調査」の季節でもある。これは、弊社が毎年4月に発表する「IRサイトランキング」の予備選考を兼ねた調査であり、直近IPO銘柄を除く全上場企業を対象に、各社IRサイトにおける基本的な情報掲載等の状況を調べるために行っている。

調査概要:調査対象企業の減少は続く…

今回の調査期間は2009年9月3日~10月20日。調査対象サイト数は3,737サイトであり、一昨年の3,914社、昨年の3,831サイトから減少している。上場廃止企業数が高水準で推移する一方、新規上場企業数が引き続き低水準にとどまっていることが原因だ。

決算短信・有価証券報告書・事業報告書:掲載率は増加傾向

下の図1は、「決算短信」「有価証券報告書」「事業報告書」のIRサイトへの掲載状況を示したものである。

図 1 短信・有報・事業報告書のIRサイト掲載状況

まずは決算短信について見てみると、全上場企業中99%の企業の自社IRサイトで短信を見つけることができる。ほぼすべての上場企業がIRサイト上に決算短信を掲載しており、もはや決算短信が見つからないサイトを見つけるほうが難しい。

他方、有価証券報告書は58%、事業報告書は64%の掲載率となっている。各資料ともに掲載企業は全体の半数強であり、決算短信に比べると掲載は遅れているものの、その率は改善傾向にある。

決算説明会:説明会資料の掲載率は増加、動画は減少

次に、決算説明会資料などの掲載率をまとめたものが、図2である。

図 2 IR資料等のIRサイト掲載状況

機関投資家・アナリスト向けの決算説明会資料(直近本決算分)の掲載は51%であった。約半数の上場企業が自社IRサイトに情報を開示し、その掲載率も順調に改善している。

他方、決算説明会の音声・動画配信については12%にとどまった。掲載率も2008年調査の13%に比べて微減している。

業績ハイライト(グラフ)・アニュアルレポート:掲載率は微増

業績ハイライトにおける重要コンテンツである業績グラフの掲載状況は50%程度であり、こちらも約半数の上場企業がIRサイトにグラフを掲載して業績を視覚的に伝える努力を行っていることが伺える。もっとも、昨年に比べると微増であるが、一昨年よりもやや低位にとどまっている。

ちなみに、日本語によるアニュアルレポートの掲載は10%程度であった。

まとめ:コスト削減の影響が顕在化したか?

以上が、2009年10月時点の、IRサイトにおける基本的なIR情報(資料)の掲載状況である。

全体的に業績を報告するための資料を掲載する企業の割合は増加する一方、決算説明会の動画配信やグラフなどの掲載は停滞気味だ。これらは掲載や作成・更新などの管理・運用にそれなりのコストがかかる。昨今の経済環境悪化に伴う活動予算の削減等によって、動画配信やグラフのような、比較的コストがかかるコンテンツには厳しい環境が続いているようだ。